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こういう大きな自然災害の時によく出てくる話題として、
「緊急事態条項」という話があります。
聞いたことありますか?
よくわからん、という方には、
「非常事態宣言」とか「戒厳令」みたいなもの、というと
少しイメージ的につかみやすいかもしれません。
よく、大規模災害のときに、「政府に権限を集中することで、より機能的に・・」云々
というような言われ方をしますが、
まあ、昨日おとといあたりで書いてきたように。
今現在でも十分にできることはあるのに、それをやらないポンコツ政府なんで。
(自然災害以外も例を挙げれば、年金とか預けても、ろくに記録も何もつけていなくて問題になったでしょう?)
そんなポンコツな人(組織)に、さらに大きな権限を与えたら、ろくなことにならないのは、明らかでしょう。
ここはまず、プロに語って頂いた方が、文言や解釈の間違いもなくていいと思うので、
「日本弁護士連合会」の出しているクリアファイルから、引用をしたいと思います。
絵も可愛くて、内容も高校生に話している風でわかりやすいので、ぜひ読んでみて下さいね!
kenpo_pmf_202311_2( .pdf / 4.4MB )
文中にもありましたが、「緊急事態条項(のようなもの)」を利用して
人々が酷い目にあった歴史が、世界のあちこちであります。
日本だったら、治安維持法ですね。
参議院の請願から一部引用しますね。
治安維持法の犠牲者は、戦前の天皇制の下で主権在民を唱え、侵略戦争に反対したことを理由に、弾圧され多大の犠牲を受けた。治安維持法が制定された一九二五年から廃止されるまでの二十年間に、革新政党、労働組合、農民組合などの活動家を始め平和主義者、知識人、文化人、宗教家まで逮捕者数十万人、送検された人七万五千人、そのうち拷問により虐殺され、また獄死した人々は約二千人にも上った。
とまあ、こんな感じです。
あと、ドイツのヒトラーの独裁も、同じ類の「緊急措置権(大統領緊急令)」が乱用されて、始まったんです。
いっぺん、和香葉語訳してみましょう。
緊急事態条項が使われるって、こんな感じ。
「今ね、緊急事態だから!
話し合ってる暇とかないから。
上で全部勝手に決めちゃうけど、いいようにするから、大丈夫だから!
いっときなんだから、いうことを聞いて!
人権とか自由とか、わがままいわないで!
場合によっては、あなたの土地も建物も、勝手に使わせてもらうけど、
みんなのためなんだから、つべこべいわないで、我慢して!」
っていうような、法律ですわ。
一見すると、「まあ、そういう瞬間があっても仕方ないんじゃない?」とも思えますよね。
でも、これって、「ノールールで好きなようにさせてもらいます」っていう法律で。
これを使う人の「人格と判断」に、全ての運命がかかっているのです。
これ、実は穴だらけなんですよ。
「いいようにするから」って、どんな風に?
誰にとっての、「いいように」?
「いっときなんだから」って、いつまで?
いつまでかは、誰が、どうやって決めるの?
「みんなのため」って、どういう「みんな」?
「お国の為」とはどうちがうの?
「政府のため」とか「一部の偉い人のため」とかじゃなくて?
また今年も、「改憲」の議論が出てくるかもしれません。
その時に、こまごまと、重箱の隅をつつくような話にもなるでしょうが、
一番大事なところだけ、おさえておきましょう。
憲法というのは、(暴走する可能性のある)強い権力を抑えておくためのものです。
「権力」という猛獣を、暴力化しないように閉じ込めておく「オリ」としての機能が「憲法」なのです。
そして、私たち一般市民の、自由とか幸せを守ってくれるものです。
それが、絶対王政を倒して、民衆が自由を手にして、
自分達だって上に好きなようにはされないんだ、っていう強い意志のもとに、
長い長い歴史をかけて育てられてきた思想です。
自民党の出してきている改憲案は、それの逆をいくものです。
いかに「上」に権力を集中させるか、ということに意識が向かっています。
そのために、個人の自由や幸福は後回しで良いという思想なんですよ。
「いやいや、そんなことはないですよ~」って改憲派の方は言います。
「基本的人権、とか、ちゃんと改憲案にも書いてあるじゃないですか」って。
でも、よく見ると、「なんで今までのと違って、ここ、削ってあるんだろう?」
っていうところとか、いっぱいあるんですよね。
そこらへんは、「取りよう」かもしれません。
「解釈」っていうか。
けれど、法律というものを仕事にして、その解釈を日々さんざんやって来ている
その道のプロ、「弁護士」さんたちが、
こういうファイルを作って、個人的にもたくさんの弁護士さんたちがいろいろな活動をして、「改憲は危ないよ!」って、必死に発信をしている。
そのお話には、一度、素直に耳を傾けるべきものがあるだろうと思います。
私の親しくさせていただいている人にも、その活動に何十年と費やしてきた、弁護士さんがおられます。
まさしく「信念の人」です。
また近く、お話を伺いに、訪ねてみたいなと思っています。