お問い合わせ |
カウンセリングの基本的な手法のひとつに
「オウム返し」というものがあります。
相手の言った言葉を拾って、
その言葉をそのまま、向こうに投げ返すという手法です。
例えば、こんな感じです。
「学校、しんどいんだよね。
休み時間にしゃべれる子がいなくてさあ・・」
「そう、休み時間に、しゃべれる子がいないの・・」
みたいな。
けど、この手法も、知ってる人は知ってますしね。
そうすると、「あ、出た!必殺・オウム返しだ!」と思われますしね(笑)。
だいたい、徹底的に、これをやると、なんか変なんですよ。
例えば、こんなの、どうでしょう。
○「うちの旦那、モラハラとパワハラ、かなり酷いんですよ・・」
●「おたくの旦那さんは、モラハラとパワハラが、かなり酷いんですね・・」
○「そうなんですよ・・帰ってくるなり、
洗濯も掃除もろくにできてないし、ご飯もまだできてないのか、とか
・・いろいろと怒鳴ってくるんです」
●「洗濯と掃除と、ご飯もできてないって、怒鳴られるんですね・・」
○「専業主婦だろっ、しっかりしろよって言うけど、
私もまだ子供が1歳だし、毎日子供に振り回されちゃって大変なんですよ」
●「専業主婦なんだからしっかりしろと言われても、
お子さんが小さいから、まだいろいろ振り回されて大変なんですね・・」
・・う~ん・・なんだか書いてても気持ち悪いレベルなんですけど(笑)。
カウンセリング界隈の話を聞いていると、
こういう「気持ち悪いレベル」の「オウム返し」って
よくあるような感じですね・・。
カウンセリング1回1万円、とかって、こんなんじゃたまらんなと思いますが・・。
あ、もちろん、先生の力量によって、ぜんぜん違うと思いますよ!
ただ、こういうのがカウンセリング業界でも問題になっているらしく、
変えていかないとだめだよね、という意見も時々耳にします。
そりゃそうだろう・・と思いますよね。
もはや人間の普通の会話ではないもんなあ・・。
なかなかに気持ちの悪いやりとりですよね(苦笑)。
しかし、「ただのオウム返し」とバカにしてはいけないのかも、と
この本を読んで、また認識を少し改めました。
「対話で心をケアするスペシャリスト
《精神対話士》の 人の話を「聴く」技術
メンタルケア協会(編著) 宝島社」
そこで語られている内容としては
内容が微妙になるほど、下手にいじらないで、オウム返しのほうが良い
ということなんですね。
一部、引用させていただきます。
『また、似ている言葉でも言葉を勝手に言い換えて復唱するのはやめましょう。
「涙が出た」と話し手が言っているのに、
「悲しかったんですね」と返すと、
相手は「そんな単純な感情じゃないんだ」と不快感を覚えるかもしれません。
「母の介護をもっとちゃんとやっておけばと思うと、残念で仕方ない」と
言っている相手に、「後悔しているんですね」と返すと、
話し手によっては反発を感じるかもしれません。
「残念」という言葉と「後悔」という言葉のニュアンスは違います。
そんな微妙なすれ違いが、復唱する言葉を言い換えると生じることがあるのです。
とくに、つらい体験やデリケートな話題のときには、
微妙なニュアンスの違いも気になるもので、
言葉の意味を明確にしたいとき以外は、
素直にキーワードを復唱するようにしましょう。』
というように、書いてありました。
いろいろ書いててアレなんですけど、
ようするに、最終的には「わかってくれた感」「通じた感」だと思うんですよね。
前のカウンセリング入門④でもお伝えしたと思うのですが
今日話しているのは、「言葉」についての話なんですが、
そもそも、相手に伝わるものとして、言葉以外のものがものすごく大きいわけで、
言葉って、実はわずかなんですよね。
そう考えると、技術として、
上記のことは知っておくことには意味があると思いますが
やっぱり、それ以上に、人間力って言うんですかね・・
何も言葉はなかったとしても、「うん・うん・・」
だけだったとしても、
確かにこちらが聴いている、伝わっている、と
感じてもらうだけの力が必要なんだと思います。
日々、精進したいと思います。
今日の記事も、何か参考になれば幸いです^^☆