奈良少年刑務所詩集より。(その3)

シリーズでお伝えしています。


奈良少年刑務所に収容されていた少年達の詩です。


ひとつひとつの詩の後に


私の感想を入れていきます。





言葉


言葉は 人と人をつなぐ


ひと言だけで 明るくなり


ひと言だけで 暗くなる


言葉は魔法


正しく使えば


たがいに楽しいし 気持ちがいいけど


間違えば


自分も相手も傷ついて 悲しくなる


言葉はむずかしい


けれど 毎日使うもの


大切に使って


言葉ともっと なかよくなりたい




☆占い師という言葉を扱う仕事になって、


余計にそうだなと思います。


同じ事を伝えるのでも、どんな言葉を使うか、


どういう順番で話すかによっても


かなり印象が違ってきます。


若いときには、使い間違えたことも沢山ありました。


傷つけたり傷ついたりしながら、


やっと言葉を投げるのがうまくなってきました。


言霊(ことだま)、なんていう言葉もあります。


今、ふと思い出したのは、中島みゆき。


彼女の言葉は、ほとんど難しい言葉はなく、


よく使われる聞き慣れた言葉ばかり。


それでも彼女の手にかかると


その不思議な、言葉の組み合わせで


独特の世界観を生み出します。


言葉の魔術師です。


どれだけの人が、彼女の歌に救われたことでしょう。


同じ言葉を使うのでも、


そんな風に言葉が使えたら素敵だなって思います。







時計


時計を見ていると いつも思う


時間 経たないなあ と


でも 集中している時は 時間は早く経つ


逆に 集中力がないと 時間は遅く経つ


慌ててはいけない時に限って


時計を見るたびに何か


早く早くと急かされているようで あわててしまう


そんな時間も 上手く使えば


きっと 自分の味方になってくれる



☆相対性理論を発表したアインシュタインは、


要するに、この詩のようなことを言ったらしいですよ。


彼はこういう風に表現したとか。


「熱いストーブの上に手を置くと、1分が1時間に感じられる。


でも、きれいな女の子と座っていると、1時間が1分に感じられる。


それが、相対性です!」って。


天才過ぎてよく分からないけど、どうやら物理的に説明すると、


「動いているものの時間は遅れる」そうなのです。


ってことは、音速や光速に近い乗り物にずっと乗っていたら、


そういう意味だけでいえば、あまり年を取らないってことでしょうね。


浦島太郎を乗せたカメは、実は超高速で泳いでいたのか?!


そんなことはどうでもいいんですが(笑)。


つまんないなーつまんないなーと思って、


ごろごろしながらスマホを眺めてるだけで過ごす3年と、


学校に行ったり、部活をやったり、友達と騒いだり、


もしくは会社でバリバリ頑張ったり、


あちこち旅行に行ったり、あれこれ食べに行ったり、


彼氏や彼女が出来て過ごす3年とは、


同じ3年でも、全く濃さも、長さも違うように感じられるでしょう。


「そんな時間も 上手く使えば」って、


「時間を上手く使う」って、どういうことでしょう。


時短で、効率で!っていうことも、あるかもしれません。


けれど、それだけではないような気もします。


時間を大切に使う、味わって使う、


そんなニュアンスもあるのではないかと。


よくみんな、「時間つぶし」とか「ひまつぶし」とか言うけれど


ここ何年か私には、そういう感覚の時間はありません。


超忙しいと言う意味ではなくて、


隙間時間には本を読めるように、だいたいいつも持ち歩いていたり、


ない時には、道行く人を観察したり、道の花や雲を眺めたり、


それはそれで、全部大事な時間だと思って過ごしています。


けれどそれももしかしたら、


若いときに欝をやって、何も出来ない時間が続いて、


気が狂いそうなほど一日が長く感じていた


その感覚があるから、逆に、今、そう思えるのかもしれません。


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