10月の詩 ~あの頃と、今と~

~あの頃と、今と~


何もかもが満ち足りて

このまま死んでもいいと思った

19歳の春


どんなに自分が幸せか

そして世界がそうでないか


半径3メートルの幸せと

どうにもならない世界


あの時に感じていた違和感や疑いは

ちゃんと的を得たものであったと

今になってわかった


何もかも知っていたのかもしれない

そして

何もかも経験してないことだらけだった

19歳の春


それからいろいろな時を過ごし

ささやかであっても

自分の手で何かを創り出し

世界に向かって

投げることが出来ると知った


あの頃は

世界に対して

ただ無力であると感じていた


今は

自分の小ささを知り

そして

この小さな手で

小さくとも心を込めて

何かを創り出せることも知っている


まだ死ねないと

まだもうしばらく生きたいと思う


あれから30年経った この秋



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